還しに行く

 

君あての 運転免許

更新のお知らせが

来ていた…

 

亡き人の一部のようで、

返納の手続きを

先送りにしていた

のでした

こんな日は

今にも降りだしそうな

曇り空が 似合う

「亡くなった主人の 

免許証を 還しに 来ました…」

久々に見る 死亡診断書を添えて 申請書に

記入した

「 何曜日でしたか?」

空白を指差し 問われる

(曜日まで 必要なの?)

 

「…確か、日曜日…

 だった  かな…

火葬の為の死亡届を

出すのに、役所の休日窓口に行ったから… 」

スマホで検索していた

 若い警察官が

「日曜日…ですね」

他にも 免許証があるんだけど…

生きた証 魂の一部

形作っていた個性

色彩

みたいで

還すに 忍びなくて…